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高校教頭ブログ(6/20)

継承と伝承

「継承」という言葉があります。ある辞書には「前代の人の身分・仕事・財産などを受け継ぐこと」とあります。また、「伝承」は「ある集団の中で、古くからあるしきたり・信仰・風習・言い伝えなどを受け継いで後世に伝えていくこと。」となっています。
 私事で恐縮ですが……私は夕食後にアイスなどを食べながら15分くらいYouTubeを視聴するのが最近の日課となっています。現在よく視聴しているのは、雨宮宏樹氏という「影武流合気体術宗家」が出ている動画です。この方、すごい武術家なのです!何しろ「1520年(永正17年)より宗家の御家に代々家伝として継承されてきた体術」を父上の伝承により継承し、そして、今の世の中で「一子相伝」は難しく、「途切れてしまっては…」という危機感から、この武術を公開・開放し、伝承者となって活動しているのです。雨宮先生出演動画で特に面白いのが、「福地勇人チャンネル」のものです。「フルコン系空手家」が雨宮先生の技術に刮目する様子は見物です。
 さて、先日「体育祭」が行われました。3年ぶりの開催であり、中高別々であり、無観客でありました。そのような体育祭ではありましたが、体育祭実行委員5名と生徒会からのサポート2名の生徒たちの活躍には感心しました。彼らは、コロナ禍の影響で体育祭実行委員の仕事を先輩たちから継承することはできませんでした。しかしながら、数々のアイデアを出し、全校生徒の前で体育祭に向けて一席ぶち、できる限りの準備をし、当日は献身的に動き……とにかく大活躍したのです。そして、おそらく、見事に、後輩たちへ「体育祭実行委員会」を「伝承」したのです。すなわち、「来年の体育祭の成功は決定している!」と言えるのかもしれません。3年生よ、ありがとう!

中学教頭ブログ(6/17)

1年生の部活動が始まりました。本校では第1学期の中間試験が終わって初めて1年生の部活動がスタートします。運動系クラブに74名、文化系クラブに12名の生徒が入部を決めました。まだ、入部を決めていない生徒が若干名いるようです。全学年合計での部員数のトップは、サッカー部の37名。続いて卓球部の34名。そして、バスケットボール部の26名と続きます。

人数を減らしている部は軟式野球部とバレーボール部です。これは本校だけの現象ではありません。高校野球は2015年頃から新入部員が激減しているそうです。夏の神奈川大会への出場校も2000年の207校をピークに、今年は170校となってしまいました。学童野球も神奈川県では7年前には2,000チームもあったのが、現在は約500チームに。なんと、7年間で4分の1の数まで減ってしまったのです。

慶應義塾高校野球部前監督の上田誠先生の分析によると、この危機的状況を作り出しているのは次の要因にあるようです。①試合数の多さ②スポーツ障害の増加(指導者の乏しい知識)③旧態依然とした指導法(罵声や長時間練習)④野球用具の高騰⑤時代遅れの保護者のお茶当番制度⑥勝利至上主義、などが挙げられるようです。時代の流れとともにスポーツ振興に携わる人々の意識も変わらなければならないということなのです。

本校の伝統的なスポーツはバレーボールであり、硬式野球であることに違いはありません。伝統競技復活のために、私たち指導者が知恵を出し合わなければならない時期を迎えているのです。

高校教頭ブログ(6/13)

晋山式

 お天気が心配されましたが、6月8日(水)に「遊行七十五代他阿一浄上人晋山式」が無事に執り行われました。晋山式に先立って、四十八段脇の真浄院から行列がありました……法螺貝、職方の木遣り、お稚児さん、時宗役員、総本山役員(藤沢市長もいらっしゃいました)、僧侶、寺族、法類、そして新命上人一行で構成された行列でした。私も行列に参加していましたが、多くの方々が、とりわけ本校中学生が合掌して行列お出迎えをしてくれたことは、大変嬉しく思いました。
 午後2時、行列が本堂に入り、いよいよ晋山式開始。堂内を清める「洒水(しゃすい)」に始まり、次にお上人を迎える使者による「熊野神三礼」と「法灯巡回」、その後お上人に登位して頂く所作が続き、ようやくお上人が「鏡縁(かがみえん/本堂中央の板の間)」中央の「蓮華座」に御登座されました。しばらくお経が続き、その最後は「般若心経」を読誦したあと「宗門鎮守熊野証誠殿大権現倍増威光 神力演大光普照無際土消除三垢冥廣濟衆厄難」を唱えました。改めて感じたことは、時宗は、宗祖一遍上人が熊野本宮大社証誠殿にて熊野権現から神勅を受けて「成道」したことを根本として成り立っているのだということです。それが時宗歴代上人に受け継がれ、今回は一浄上人に「法灯」として相続されたのです。
 前回の遊行上人晋山式は、平成15年10月でした。その際は、まだ私は「下っ端」であったため、行列に参加したり、本堂内に入ることはできませんでした。今回初めて行列に加わり、本堂での晋山式に随喜できたこと、そしてそれが近いお付き合いをさせて頂いている一浄上人であったことは、私にとって貴重な時間と経験であり、感無量の気持ちになりました。

中学教頭ブログ(6/8)

53歳で日本ダービーを制覇した武豊騎手。36歳で14度目の全仏オープン優勝を果たしたナダル選手。おじさんたちのパワーが炸裂しています。今週は何と言っても、74歳で全国コンサートツアーを再開した小田和正さんのニュースが私にとっての関心事です。

ご存知の方も多いと思いますが、聖光学院卒業の小田和正さんは同級生だった鈴木康博さんとオフコースを結成しました。その後メンバーを加えて日本武道館でのコンサートを実現するほどの人気グループとなりました。私が初めて購入したレコードがオフコースのアルバムでした。実は今でもそのアルバムを大切に保管しています。コンサートにも何度も行きました。歌詞は鳥肌が立つほどキザなのですが、小田さんの歌声は声楽家の道を一時はめざすことを考えた自分にとって、とても魅力的です。70歳を過ぎてもあの声が出せるのは驚異的です。

これから、11月の横浜アリーナでの最終公演まで全国16ヶ所で34公演が予定されています。1か月に6公演を行う計算です。それぞれの公演で25曲も歌い切る体力は凄まじさを感じます。ツアーの期間中に後期高齢者に突入する小田和正さんは、最後のコンサートツアーの決意で臨んでいるのかも知れません。会場に駆けつけるファンの方たちも、おじさんやおばさんがほとんどだと思います。平均年齢は40歳を超えているに違いありません。チケットが手に入れば私もコンサート会場に行きたいのですが。ツアーの成功をお祈り申し上げます。

高校教頭ブログ(6/6)

五月晴
 6月に入りました。今週は8日(水)に「遊行他阿一浄上人晋山式」、10日(金)には「体育祭」があります。ともかく両日とも雨が降らないことを祈ります。
 さて、今年の6月1日は旧暦(陰暦)の5月3日です。そして、6月11日は旧暦(陰暦)の5月13日で、「雑節」の「入梅」となっています。現在では、梅雨というと「6月」のイメージですが、本来(旧暦)の梅雨は「5月」ということになります。通常、気象用語というものは「旧暦」当時に作られています。したがって、もともとの「五月晴」は「5月の空の晴れわたること」ではなく、「梅雨の晴れ間」を意味します。同じように「五月雨(さみだれ)」は「梅雨の長雨」のことであり、「五月闇」は「五月雨、すなわち梅雨のころの夜の暗さ」を言うのです。
 松尾芭蕉の俳諧紀行『奥の細道』に季語として「五月雨」を用いた有名な句がありますね……「五月雨を集めて早し最上川」です。この句は「涼し」が「早し」に推敲されたそうです。梅雨の最中に日本三急流の一つである最上川の船下りを体験した際に詠まれましたので、「水みなぎって、舟あやふし」という「恐怖の川下り」だったのでしょう。

中学教頭ブログ(6/2)

競馬の祭典、日本ダービーが6万人の観衆を集めて東京競馬場で行われました。武豊騎手騎乗のドゥデュースが7522頭の頂点に立ちました。競走馬にとって生涯一度限りのチャンスをレコードタイムで走りきりました。武豊騎手は53歳。今回で6度目のダービー制覇は前人未踏の快挙です。

私の妻は武豊騎手と同じ年齢で、いつも彼を応援しています。勝馬投票券は購入しません。50歳を超えても現役で頑張っている武豊騎手の姿に感動するそうです。なぜならば、騎手の日常生活は過酷なものだからです。

若手騎手の一日を調べてみました。平日は朝4:30起床。競馬開催日は午前3:00前に宿舎を出て競走馬の調教へと向かいます。平日は何頭も調教します。一頭だけではありません。土・日は朝5:00に競馬場へ向かいレース前の準備に入ります。午前9:30からいよいよレースが始まります。すべてのレースに騎乗するわけではありませんが、最終レース(16:30)が終了するまでジョッキールームで待機します。開催日の前日は18時以降、外部との接触が絶たれてしまいます。不正を防止する対策です。若手騎手にとっては辛い2日間でしょう。夜は電話もメールもできないのですから。

現在、競走馬の育成に従事している卒業生がいます。最初は騎手をめざしていたようですが、やはり条件が厳しく断念せざるを得なかったのです。将来は調教師をめざして頑張っているようです。ぜひ目標を達成してほしいと思います。騎手になるための条件は、①体重が49kg以下②視力は0.8以上(矯正視力は不可)③騎手免許の取得、など様々な制約があります。生命の危険を伴う職業ですから生命保険にも加入できません。

藤田菜七子騎手をはじめ、女性の若手騎手が活躍しています。競馬界に挑んでいった彼女たちの勇気は簡単に真似できるものではありません。私の妻も競馬には関心が高いようですが、騎手になる資格はありません。見事に体重制限にひっかかってしまうからです。

中学教頭ブログ(5/27)

バイデン大統領の初来日。警視庁は1万8,000人の警察官を動員して警備を強化しました。バイデン大統領が移動するたびに多くの警察官が動きます。港区にある八芳園内の料亭で夕食会。岸田首相が提案した「広島風お好み焼き」は却下。サーモンのムニエルや軍鶏の鉄板焼きなどの和食となりました。また、大統領の好物は私と同じアイスクリームだそうですが、会食では宮城県から届いたジェラートが出されたそうです。

先日、ある研修会に参加しました。神奈川県学習塾連絡会が主催する勉強会です。今回は牧島かれんデジタル大臣をお招きして、「デジタルを活用した教育の今後」をテーマにして行われました。大臣がご苦労されている点は、各省庁間の連携にあるようでした。教育現場での改革には文部科学省の力が絶対です。デジタル化推進を議論しても、文部科学省が動かないとどうにもならないということです。牧島大臣は「かながわ民間教育協会」にも理解があり、大臣になる前には私も名刺交換をさせていただいたことがあります。私学教育にも力を貸してくださる方です。

90分におよぶ講演会の間、Security Police (SP)の方たちが会場内で監視を続けます。直立不動のまま何事も起こらないように国務大臣を警護するのです。視線が強烈です。牧島大臣の講演の中身よりもSPの方たちの圧力が気になってしまい、集中できていない自分がそこにはいました。SPの仕事はとても厳しいもので、不測の事態の際には自分の身を呈して要人を護らなければなりません。

正式には警視庁警備部警護課第四係という呼び名だそうです。SP候補になる条件は、①身長173cm以上②柔道3段以上または剣道3段以上③けん銃操作上級資格取得④英会話ができる、の4項目だそうです。体力だけではSPは務まらないのです。やはり、英会話力をしっかりと身につけておくと職業選択の幅が広がることは間違いありません。

本校では英会話の授業が中2~高2まで組まれています。1クラスを2分割して少人数での授業展開です。英語をできるだけ多く使う場面を設定しています。生徒たちの実用的な英語力が身につくことを願っています。

高校教頭ブログ(5/25)

千里同風

 バイデン米大統領が5/22~5/24の3日間、日本に滞在しました。大統領は、日本に滞在中、岸田文雄首相との日米首脳会談、日米とオーストラリア、インドの4カ国(クアッド)首脳会議に臨むなどしました。
 来日2日目に行われた日米首脳会談のあと、港区の「八芳園」にて非公式の夕食会が開かれました。その夕食会に先立って行われたのは……日本のファーストレディである裕子夫人の参加者に対してのお茶(茶道)でのおもてなしでした。これは、岸田首相の「日本の美を伝えたい」(官邸関係者)との意を受けた裕子夫人が、和服姿で茶の湯の点前(立礼式)を披露し、バイデン氏をもてなした、ということなのです。
 「日本の美」=「茶の湯」は、岸田首相だけが思っていることではないでしょう。多くの日本人が首肯することであると思います。「人をもてなす際に現れる心の美しさ」は、もてなされる側の心をも清らかに美しくする力があり、そして、その瞬間が、茶室という華美を排した小さな空間に訪れたときに究極の美が実現し、人は心揺さぶられる感動に包まれるのです。
 藤嶺藤沢では、生徒全員が茶道を学んでいます。茶道というものが、いかに気高く清らかであり、いかに崇高であり、いかに自利利他の心に満ちているのかを、バイデン大統領来日を機に私自身も再認識した次第です。
 ちなみに、茶の湯でおもてなしをした際に掛けられたお軸は「千里同風」でした。その意味は「遠隔の地にも近くにも同じ風が吹く意から、天下がよく治まっている太平の世」ということです。現今の世界情勢に照らしてこの句が選ばれたのでしょう。

高校教頭ブログ(5/22)

『ひととき』

 今週も拙寺のことです。
 JR東日本系の「株式会社ウェッジ」という出版社から月刊誌『ひととき』6月号が、一昨日(5/20)発売(税込550円)されました。表紙には「鎌倉」の文字と「〈特集〉ほほえみの美仏」とあり、何と表紙の写真は弊寺所蔵「如意輪観音菩薩坐像」です!去る3/20(日)午後に、山本勉先生(清泉女子大学名誉教授/日本彫刻史専攻/鎌倉国宝館長)とみほとけ氏(鎌倉市出身の仏像好き芸人)が来山し、拙寺本堂にて「仏像談義」を小1時間して、その間にカメラマンが如意輪観音を撮影(特別許可)しました。「専門家」である山本先生、「仏像好き」のみほとけ氏との「仏像談義」は楽しいものでしたが、私はついていくのがやっとの状況……その結果(⁈)記事中の私の発言はゼロ(「あれ⁈これは私の発言では?」というものもあるような⁈)……トホホです。しかし、3人で写した写真が1枚載っています。
 如意輪観音像は古くは二臂に作られましたが、真言系では普通六臂となります。半跏の姿勢(座り方)および六本の手の位置と持ち物は決まっています。特に、右第二手に如意宝珠を持ち、左第三手は法輪を捧げている。如意宝珠と法輪を持つため「如意輪」と言います。「如意宝珠」は、われわれ衆生のあらゆる願いを叶えてくれる「魔法の珠」……しかし「法輪」は、私たちの「煩悩」を打ち砕く法具です。すなわち、願いごとをする私たちの「心」が問われているのです。また、笑みを浮かべたお顔の表情の奥には、鋭い眼差しも兼ね備えていらっしゃいます……ここにも「優しさと厳しさ」の両方が感じられるのです。
 この観音像の由緒や願主については不明ですが、胎内には幼児のものと伝えられる遺骨が納められていることや、遺骨にまつわる伝説がいくつか残っていることは、この観音様が「ミステリアス」に感じられる要因となっています。
 ちなみに、本堂内仏像拝観は「完全予約制」で、日時は来迎寺HPに載っています。

中学教頭ブログ(5/20)

5月14日(土)、将棋の女流タイトル戦「マイナビ女子オープン」第3局が遊行寺で開催されました。協力団体を代表して、初手(第一手)の場面に同席させていただきました。鈴木恒夫藤沢市長、棋士の木村九段、戸辺七段、大盤解説のゲストつるの剛士さん、乃木坂46元メンバーの伊藤かりんさんらが見守る中、午前10時に西山朋佳女王と里見香奈女流四冠との対局が始まりました。それぞれの持ち時間は3時間。トイレ休憩も持ち時間に含まれてしまうそうです。

初めての経験でしたが、予想外の展開でした。両者じっくり考えて二手、三手と駒を打っていくものと勝手に思っていましたが、対局はスピーディーに流れていきます。時間をかけて考える局面はかなり先のようでした。

午後1時からは本校の体育館で大盤解説会が行われました。つるのさんと戸辺七段、伊藤さんと戸辺七段が入れ替わって対局の行方を解説します。YouTubeでも対局の様子が配信されました。会場には北海道から来られた、つるの剛士さんのファンもいました。開場まで3時間以上待っていた将棋ファンの方もいました。驚くばかりの光景でした。

午後5時過ぎに対局が終了。結果は里見四冠の勝利となり、これで里見棋士の2勝1敗。今回のタイトル戦での王手を握ったそうです。両棋士が遊行寺から本校の体育館に移動し、対局後の感想を述べられました。6時間を超える対局でしたので、さすがに疲労困憊の様子でした。

「勝負めし」が気になるところです。昼食時間は40分。持ち時間には含まれません。藤井聡太棋士の対局でも「勝負めし」が注目されますが、今回の対局では藤沢にある「隠れ里車屋」から会席料理が配達されました。写真を拝見しましたが、8,000円もする豪華な昼食です。「モグモグタイム」には串団子3本と、どら焼きが用意されました。支払いはすべて主催者持ちとのことです。将棋は頭を使う競技ですから、エネルギーをかなり消耗するようです。栄養補給は大切な要素なのでしょう。  

女流棋士の食欲に比べ、本校の新入生の食生活が気になるところです。4月に行われたオリエンテーションの食卓では、野菜やご飯を残してしまう生徒の多さに驚かされました。頭を働かせるにはバランスの取れた食事が欠かせません。生徒諸君へと言うよりも保護者の皆様へのお願いです。「スナック菓子」の与え過ぎにはお気をつけください。