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高校教頭ブログ(6/29)

 毎年6月23日は「沖縄慰霊の日」です。太平洋戦争末期、1945年4月1日のアメリカ軍の沖縄本島上陸によって本格的に開始された沖縄戦は、第32軍司令官牛島満大将(当時は中将)をはじめとする司令部が自決した日(6/23)をもって組織的戦闘が終結したということです。沖縄戦での日米両軍及び民間人を合わせた地上戦中の戦没者は約20万人、そのうち日本側の死者・行方不明者は188,136人とされています。
 さて、私は先日『宗棍』(今野敏著/集英社)という(大衆)小説(単行本/392ページ)を読みました(今野敏は私のお気に入りの作家で100冊くらいの著作を読んでいます)。『宗棍』の帯には「幕末、琉球王国が滅びゆく時代に、国王の武術指南役を務めた松村宗棍。強さとは何かを追い求め、琉球空手の礎を築いた男の生涯を描く、著者入魂の長編。」とあります。今野敏の著作に「琉球空手シリーズ」があり、『宗棍』はそのうちの最新刊です。
 開幕まであと1ヵ月を切った東京五輪ですが、今回初めて「空手競技」が実施されます。俗に言う「空手」ですが、ノンコンタクト(寸止め)、スキンコンタクト、フルコンタクトなどに分類され、五輪種目の空手はノンコンタクト系(実際は当たりますが)であり、「スポーツ空手」「競技空手」と言われ、沖縄伝来古流空手とは「似て非なるもの」です。沖縄はかつて「琉球」と呼ばれ、江戸時代以降は、薩摩藩と清への両属という体制(中華帝国の明・清の元号と日本の朝廷の元号の両方を施行する国家体制)を取りながらも、独立した王国として存在し、日本や中国の文化の影響を受けつつ、交易で流入する南方文化の影響も受けた独自の文化を築き上げました。そして、沖縄伝来古流空手(この言い方は正確ではないかもしれません)も沖縄が築き上げた独自文化の一つなのです。『宗棍』は、琉球王国時代の最も偉大な武術家の一人である松村宗棍の生涯だけでなく、幕末の沖縄の様子も描かれており、大変興味深く読むことができました。
 ちなみに、かの村木厚子氏(厚労省官僚で、虚偽公文書作成・同行使の容疑で逮捕されて5ヵ月間拘留されたが、全くの冤罪であった)は拘留中に今野敏著『隠蔽捜査(シリーズ)』を読んでいたということです。

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