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開山忌と慰霊祭
 9月21日~24日まで遊行寺では「秋季開山忌」が行われます(今年は縮小で22日から)。この期間は、時宗の開祖一遍上人の遺徳を偲び、様々な法要が行われます。ちなみに、4月21日~24日には「春季開山忌」が行われ、遊行寺を開いた呑海(どんかい)上人の遺徳を偲ぶ法要があります。
 一遍上人は、鎌倉時代の延応元年(1239)に瀬戸内海を制圧していた河野水軍の豪族の子として生まれました。以来多くの困難・試練を経験し、36歳のときに諸国遊行を始め、文永11年(1274)に熊野本宮大社証誠殿にて熊野権現より神託を受けて悟りを開きました。そして、51歳で亡くなるまで「遊行・賦算・踊念仏」を続けました。ちなみに、時宗の宗紋「隅切三(すみきりさん)」は河野家の家紋です。
 さて、秋季開山忌は、「お彼岸」の時期とも重なるため、以前は県内外各地から大勢の参拝者があり、東海道線の本数が今より少ない頃は、臨時列車まで出たという話です。境内は露店や見せ物小屋やサーカスまでが来て大いに賑わったそうです。今ではすかっり寂れてしまいましたが…。
 毎年、開山忌初日の午前11時より「藤嶺学園関係物故者追悼慰霊法要」、通称「慰霊祭」が営まれています。この1年間に亡くなった藤嶺学園関係者の霊を慰める法要です。この法要には、御遺族を始めとして、理事長先生や学園の御重鎮、そして藤嶺藤沢・藤沢翔陵・鵠沼の高1生が参列し、厳粛な中で行われます。法要後には、お上人より「お札」を頂くことができます。(残念ながら本年はコロナ禍ということで生徒の参列はありません。)
 では、なぜ、在校生が参列をして「慰霊祭」を行う必要があるのでしょうか。皆さんはお墓参りに行ったことがあると思います。どこのお墓にお参りしたかというと恐らく各々の「ご先祖」のお墓でしょう。では、なぜご先祖のお墓にお参りするのでしょうか。それは「自分へと連なる多くのご先祖のたった一人でも欠けたら、今の自分の存在はない。今自分達が生きているのはご先祖のお陰なのだ。だから、ご先祖に感謝をし、元気でいる姿を見せ、そしてこれからもご先祖に恥じないように一生懸命毎日を過ごす。」という気持ちがあるからでしょう。よく考えてみましょう。皆さんが藤嶺学園の生徒の一員であれば、卒業生や元職員の方々は、生徒としての皆さんにとっての、言わば「ご先祖」にあたるのではないでしょうか。「ご先祖」である卒業生の存在があったからこそ、今の学園があり、今の皆さんの学校生活があるのです。本来なら生徒全員が慰霊祭に参列すべきなのでしょうが、物理的な理由もあり、藤嶺藤沢・藤沢翔陵・鵠沼の各高校1年生だけが参列をします。「慰霊祭」を迎えるにあたり、先人へ思いを馳せ、翻って今の自分を見つめ直す機会にしてほしいと切に願うところです。

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