卒業生による特別授業(6年生)
2024年11月18日 (月)
先日、桐光小の卒業生である山口晏平さん(11期生)をお招きして、「記憶」に関する特別授業をしていただきました。山口さんは、記憶力を競う「メモリースポーツ」の第一線で活躍中です。トランプ記憶日本保持者であり、日本選手権優勝、世界ランキング第5位などの輝かしい実績を残しています。
題材が子どもたちにとって身近なものであり、どの子も関心を高く持って臨んでいました。授業では、最初に15個の単語が示されました。「やすり」「忠犬ハチ公」「光」・・これらの語句を1分間で順番に記憶していきます。すべてを一人で完璧に覚えるのは難しくても、子どもたちの記憶のパーツをつなぎ合わせると、15個の答えが導き出されました。
さてここからは、より正確に速く記憶するコツのレクチャーです。一つ目は「ストーリー法」。単語からイメージしてストーリーを作っていくのですが、現実ではありえないようなおかしなお話が記憶に残りやすいとのことです。二つ目の「場所法」は、自分にとって身近な場所(お家や校舎内など)に、覚えるものを置いていく方法です。山口さんが、これら二つを組み合わせた方法で “ストーリー” を披露してくれました。「教室に古びた机があるのでやすりでこすっていたら、たくさんゴミが出てしまいました。ほうきを取ろうと掃除用具入れを開けると、何とそこには忠犬ハチ公がいました! とりあえず掃除を終えたので遊びに行こうと階段をおりると、一つだけ光るところががあり・・」子どもたちは、おかしなお話に思わず笑いながらも、無機質に並んでいた三個の単語がスーッと頭に入っていくのを実感するのでした。
このようにして工夫して覚えた15個の単語は、冒頭でご紹介した「やすり」「忠犬ハチ公」「光」の後に、「ツナ」「OK」「ドアノブ」「継ぐ」・・と続きます。ここまでお読みになり、お気づきの方もいらっしゃるでしょうか。実は、家康→秀忠→家光→家綱→綱吉・・と江戸幕府の将軍になっているのでした。山口さんに教わった二つの方法で15個の単語を頭に入れると、15代将軍の名前をすべて覚えたことになるのです。
この記事を書きながら、高校の世界史でカタカナの人物名を覚えるのに苦労したことがふと思い出されました。ゲーム用語や好きなスポーツ選手の名前であればすぐに頭に入るのに、「覚えなさい」と言われると、嫌だなあと思ってしまうもの。でも、これからの勉強の中では記憶しなければいけない場面が多くあることでしょう。この日の特別授業で学んだことが、そのようなときのヒントの一つになればいいなと思います。