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高校教頭ブログ(3/13)

東日本大震災から12年

 今年もまた「3.11」がやってきました。今年は2011年の震災から12年という年にあたります。
 東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた東日本大震災では、震災関連死を除く死者は、約1万6,000名に達しています。亡くなった方々のその瞬間の苦しみ、そして無念さを思うと胸が痛みます。また、これほど多く亡くなった方がいるということは、その何倍もの「死別経験者」が生まれてしまったということになります。「別れを言えなかった永久の別れ」は、その悲嘆が癒えるまでに相当な時間が必要です。いや、悲嘆が癒えることはないのかもしれません。
 仏教のしきたりでは、人が亡くなってから丸1年の命日を「一周忌」、丸2年を「三回忌」、丸6年を「七回忌」、丸12年を「十三回忌」としています。したがって、今年は「東日本大震災で亡くなった方々」の「十三回忌」です。命日あるいは命日の近くで残された近親者たちは、菩提寺にお願いをして「年忌法要」を執り行います。年忌法要は「弔い」の大きな部分を占めています。「弔い」とは、人の死を悼み、葬送を執り行い、そして引き続く仏事に携わっていくことです。そして、この「弔い」は、「人が集まって」執り行うことにより哀しみを共有することで、残された者たちが「死者とともにある」という気持ちや、「死者とともに生きる」という感情となって返ってくるのです。「年忌法要」は、単なる儀式やしきたりにとどまらず、「グリーフケア」の役割を担っているのです。おそらくこの1ヵ月には、被災3県(岩手・宮城・福島)をはじめとして、各地で十三回忌が営まれ、死者を悼むとともに自らの心の安寧を得た方々がいたことでしょう。
 しかしながら、冒頭で述べたように、「別れを言えなかった死別」が癒えるには時間がかかります。したがって、十三回忌を迎えてもなお死別当初の喪失感が癒えず、思慕と想起を繰り返し、「癒やしと再生」に至らない状況の方々がたくさんいらっしゃることも、我々は心に留めておかなければなりません。

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