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高校教頭ブログ(7/19)

悪口

 最近のニュースにときどき出てくることに、「侮辱罪厳罰化」があります。これは、2020年5月に女子プロレスラーの木村花さん(当時22歳)がSNSで中傷されて自殺したのを機に厳罰化を求める声が高まり、今年6月に成立した改正刑法で「1年以下の懲役・禁錮、または30万円以下の罰金」が追加された、というものです。侮辱罪の法定刑はこれまで「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」で、刑法の中で最も軽かったそうです。そして、今回の懲役刑を導入する改正刑法の規定が今月7日に施行されたのです。
 昔から「口は禍の門」と言い、「言葉を慎むこと」の大切さが説かれています。また、仏教では「身口意(しんくい)」によって生じる「十悪」があり、それらは「殺生・偸盗・邪淫・妄語・綺語・悪口(あっく)・両舌・貪欲・瞋恚・邪見」となっています。特に口(言葉)の悪が4つ立てられているのは、人間の交わりの道具として、言葉を重視したためです。「妄語」は「うそをつくこと」、「綺語」は「飾り立てた言葉」、「悪口(あっく)」は「人をあしざまに言うこと」、「両舌」は「人と人の間に不和を生ぜしめる行為」です。
 「侮辱」に相当するのは、仏教では「悪口(あっく)」ということになるでしょう。「侮辱罪厳罰化」が今行われたということは、残念ながら、お釈迦様のいらした2500年前から人の負の営みは変わっていないということになります。科学の進歩も、時間の経過も、人間自身を変えることにはつながっていないようです。だからこそ、「十悪」を戒め、「十善」に努めるという仏教の教えが今に生きるのです。

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