芸術鑑賞会
2024年11月23日 (土)
22日(金)に芸術鑑賞会がありました。今年は「わんぱく寄席」を開催し、落語と紙切り芸を鑑賞しました。
冒頭で、落語の基礎知識を分かりやすく教えていただいてから、各学年の代表児童が舞台上で落語体験をしました。扇子をお箸に見立ててお椀を持ち、ズズズズッと音を立ててお蕎麦を食べる場面。実際には無い物が、仕草や音によってそこにあるように見えるのが不思議なものです。落語は、演じる側も観る側も、想像力に支えられているということを学びました。
続いて鑑賞の時間です。雷門音助さんが披露されたのは、児童の注文に応じてその場で品を作る紙切り芸。はさみを動かしていくうちに、一枚の白い紙がサンタクロースやペンギン、伊勢海老などの形に生まれ変わります。あっという間の名人芸に、子どもたちが感嘆の声を上げていました。午前中に行われた1~3年生の部では、なんと校長先生の横顔も切り絵で表現されて、大いに盛り上がりました。
お二方の落語家による寄席も、笑いの絶えない時間でした。林家楽三郎さんの「つる」では、「鶴」の名前の由来を聞いて意気揚々と人に教えに行くが、聞き間違えや勘違いの連続でちっとも正しく伝わらない滑稽なお話。三遊亭わん丈さんの「牛ほめ」には、落語によく出てくる“与太郎”が登場し、訪問先で案の定おっちょこちょいな言動を繰り広げます。火伏の神・秋葉様のお札を節穴に貼れば「火の用心」ですが、牛のお尻を見て「ここにお札を貼ったら“屁の用心” だ」と真面目な顔で話す与太郎に、お腹を抱えて笑う子どもたちでした。
どちらも、聞き間違いや勘違いが笑いを誘うお話でした。狂言や落語など日本の古典芸能には、失敗したり馬鹿馬鹿しいことを言ったりする人物がしばしば登場します。そしてそれらは、どこか憎めない、愛すべきキャラクターたちです。誰も傷つけない笑い。「自分にも、こんなところがあるかもしれないなぁ」と共感を呼ぶ笑い。古典芸能の“笑い”の根底には、自分自身や他者に向けた優しいまなざしがあるのかもしれません。
大いに笑い、みんなが笑顔になった芸術鑑賞会。温かな笑いに包まれた和やかな芸術の秋となりました。