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2020年4月10日 (金)

木登りなど

小学生の頃、近くの公園で木登りをするのが好きでした。横断歩道がある2車線の道路は、小学生にとって大きな川です。その川をひとつ渡ると「東公園」と呼んだり、そこに置いてある遊具から「パンダ公園」と呼んだりしていた公園があります。

そこに大きな…何の木だったでしょう…今、幹や葉の感触を手がかりに調べてみると、どうやらカバの種類の木のような気がするのですが、1m位の高さから、外側に枝を張っている木がありました。

最初の枝は、大人の太ももくらいありました。その枝までの幹の部分には、ちょうど良い感じにコブがあり、そこを足がかりに登ることができました。最初の枝にしがみついて身体を持ち上げると、その上に、またその上と登って行きます。

夏は葉が茂り、下からは自分の姿がきっと見えません。ひんやりとした枝に身を横たえて、公園を見下ろして、このまま昼寝できたら楽しいのにな、なんて思いました。その頃、きっと目にしたハックルベリー・フィンなんかの挿絵、大木の上に小屋を作ってしまうようなスケールの木登りを思い出していたのかも知れません。

目の高さを変えるのは、とても面白いです。

ヨットは、風を受けて進みますが、強い風を受けると、その勢いに煽られて船体が大きく傾いてしまいます。その傾きは推進力にとって大きなロスになりますから、操縦者は大きく身体を外に乗り出して、傾きを抑えます。ヒール、傾きをつぶすなんて言います。汗をかきながら、ロープを握りしめて身体を船の外に乗り出している様子を、テレビのCMなにかで、見たことがあるかも知れません。

少年時代、ヨットに乗せてもらったことがあります。澄み切った青空のもとで、十分に風もあり、教わるままにそうやってヒールを潰していました。波しぶきが顔にかかり、いっぱしの船乗りになったような気分を味わっていました。そんな時、ふと、思いついて、引いているアゴをそのままグイッと伸ばしてみました。身体全体を大きく後ろに反らせて見たわけです。ちょうどブリッジをしているようになりました。すると…今まで空であったところが水面になり、水面であったところが空になりました。空も水面もどちらも抜けるような青で、空の天井近くを走っているような気分になりました。

そう、視点を変えるのは、とても面白いです。

だから山登りをするのかも知れない。そう思いながら、汗でぐっしょりになったTシャツを絞って、尾根で息をつきます。ずっと下に、さっきまでみんなで休憩をしたテント場が見えます。もう豆粒のようになった山小屋の屋根が見えます。

下の写真は台湾大村小學の校庭の大きな木、それから横須賀学院の創立記念に植樹されたクスノキです。

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