スーパームーン
今夜はスーパームーンです。
昨夜も大きな月を見上げてみました。ご覧になりましたか?
月の光は本当に不思議です。私が少年時代から参加している野尻湖畔にあるYMCAのキャンプ場には一部を除いて電灯がありません。その明かりも、夜になると消されて、そうなると都会ではあり得ないような暗闇に包まれます。
ですから、夕食後のプログラムに「狸狩り」というのがあります。大学生のリーダーさんたちや、我々社会人のスタッフが「狸」の役になって、キャンプサイトのあちこちに潜みます。それを小学生から高校生までの参加者が、懐中電灯を頼りに、探すのです。茂みに隠れたり、キャンプファイヤーをする場所の椅子の下に隠れたりと、探す方はもちろん、隠れている方もとてもスリリングなプログラムです。
茂みの中に隠れていると、身体のすぐ脇を、少年たちの懐中電灯がかすめることがあります。それでも余程のことがない限り見つからない、それくらいの暗闇でした。
そんなキャンプ場でも、月夜は明るいのです。スーパームーンでなくても、満月の夜であれば、真夜中でも、懐中電灯なしでキャンプサイトを走ることができます。遠くになればなるほど鮮明にくっきりと建物や林の木々の輪郭が見えて、しかし、そんなに明るいのに、手元の本を読もうとするとぼんやりしてしまう。あの不思議な感じ。精神科医の中井久夫氏はそんな風に表現しています。
そんな夜、友人と「影踏みって、こんな晩の遊びなんだね」と話しました。
私たちはあの大きな月に照らされると、誰もが同じような気持ちになり、歩みを止めて見上げる時を持つのではないでしょうか。海を初めて見た時、高い山を見上げた時、どんな時にもその自然の圧力に圧倒され言葉を失ってしまう。その気持ちは、年齢も人種もなにもかも超えて生じる気持ちだと思います。
だとすると、その感情は、環境によって育まれたのでもなく、誰かに教わって覚えたものではないのでしょう。
人にはそんな、美しいものを感じ取る力、大きな超然とした存在に圧倒される心性がDNAレベルで刷り込まれているように思います。その心の動きを大切に守って育てて行かなければいけない。自戒もこめてそんなことを考えました。
今夜そのスーパームーンを見上げてみましょう。なんなら、子どもたちと影踏みでもしてみましょうか。