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2020年4月16日 (木)

旧約聖書には…

 山登敬之先生は、精神科のお医者さんです。ずっと以前に私がボランティアスタッフをしているキャンプに「キャンプドクター」という立場で参加してくださって、それ以来、一方的に色々と頼らせてもらっています。

 著作もたくさんあります。最新刊の『わからなくても、こころはある』(日本評論社 Kindle版もあります)は、時にとても専門的な事柄を、私にも分かりやすく説明されていて、最近読んだ本の中では特にお勧めの一冊です。忌野清志郎の歌で言うならば「ぼくの好きなおじさん」(『僕の好きな先生』より)の中のひとりです。

 その方が、フェイスブックにこんなことを書いていました。ご本人のお許しもいただいたので、こちらに紹介させていただきます。

 旧約聖書には、たくさんのわざわい、厄災が記載されている。イナゴの大群が食べ物を全部食べてしまったり、ノアの方舟のような洪水におそわれたり。子どもの頃、クリスチャンである親戚の家で、絵本に描かれたそんな絵を見るのがとても怖かった。

 例えば出エジプト記には、ナイル川が血に変えられるから始まって、雹が降る、家畜に疫病が流行するなどという、10の厄災に見舞われるとか、新約聖書にも、全ての青草が焼けるとか、海の生物が3分の1なくなるとか、人々が太陽の火で焼かれるとか、人々をこらしめる様々な厄災が描かれています。

 山登先生は更にこう続けます。

 今、コロナウィルスとの戦いに勝つとか、そんな言い方がなされているけれど、それは間違った考えじゃないかと。神様の怒りにさらされるような、これは自然災害なのだと。

 そう、これは台風や地震、干ばつなどのような自然災害なのです。ものすごい大型の台風が直撃して(昨夏の19号を思い出しますが)暴風域の中にある時、「この嵐との戦いに勝つ」という言い方、そこで用もないのに出歩くような行為がそぐわないのは簡単に想像がつくことです。

 もちろん、そんな中にあっても、逃げることが出来ずに働いていらっしゃる医療従事者の方々、またどうしても休むことができない生活を維持する仕事に従事する人たちにとっては、これは戦いなのかも知れません。しかし、非戦闘員である私たちは、家の中にいて自らの身を守ることが戦っている彼ら…お医者さん、看護師さん、臨床検査技師さんたち、ごみ処理の人たち、スーパーの店員さん…を支えることになるはずです。

 今、色々な芸能人の人たちもインスタグラムやツイッターなどSNSを利用して自分たちの思いを発信しています。そんな中で女優の杏氏が、娘さんを前に加川良氏の『教訓1』を歌っている動画に心を動かされました。

  命はひとつ人生は1回だから

  命を捨てないようにね

  あわてると つい フラフラと

  お国のためなのと 言われるとね

  青くなって しりごみしなさい

  逃げなさい 隠れなさい 

(上野瞭/加川良 作詞)

 これが戦いであるとしたら、私たちにはこんな反戦歌こそがふさわしいのだと。

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