校長室より

2022年11月 2日 (水)

オセロ

 ここでいう「オセロ」は、ボードゲームのことではありません。そのボードゲームと同じように、「マイナス」を「プラス」にひっくり返すアイスブレイクのことです。

 

 学校だけではなく、企業などにも取り入れられている「チームビルディング」には様々な手法があります。複数の人間が集まって、ひとつの課題を解決しようとする時、「グループ」は「チーム」として役割分担をし、信頼関係を構築しなければなりません。

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 それは例えば、10人弱が輪になって、人差し指だけでフラフープを支えて、それを地面に降ろす。そんなちょっとした取り組みだとしても、そこには集団としてのまとまりが必要になります。リーダーが生まれ、サブリーダーが生まれ、またその役割は局面によって次々に移り変わるのです。その過程を深堀りすれば、自己認識、他者理解それぞれにおいての発見があります。この写真は中休み、6年生の教室でのものです。さすがは6年生、上手に声を掛け合って、あっという間に「協力」が生まれ、課題を解決しました。

 このグループはできるだけ無作為に集められたものが効果的でしょう。なぜなら普段から気心が知れている人同士よりも、あまり馴染みのない人同士の方が、発見の幅は大きくなります。しかし、その分、「チーム」になるためのハードルは高くなるでしょう。そこで必要になるのが、「アイスブレイク」です。これから行われることは少なくともお互いを傷つけ合うことではないのだと理解してもらうためのウオーミングアップのゲームです。

 長い前置きになりましたが、いよいよこの「オセロ」の説明です。まず、ペアを作ります。そしてそれぞれ自己紹介をするのですが、ルールは、一方がまず自分のネガティブな面を伝え、聞いた人は、それをポジティブに言い換えるのです。例えば「私は人見知りが激しくて、こういう場面は苦手なんです」「なるほど、つまり慎重な方なんですね…私はよく何をするのも雑だって言われます」「あー、さばさばして、さっぱりしているんですね」といった調子です。

 東畑開人氏の『聞く技術 聞いてもらう技術』(ちくま新書)を読んで、ふとこの「オセロ」を思い出したので、ご紹介しました。どんな場面でも切り取り方で見え方が変わってくる。「心」には見えている部分と隠れている部分がある。ゲーム感覚で「オセロ」なやり取りをしてみても、また新たな発見があるように思います。

2022年10月21日 (金)

今朝の礼拝

今朝の礼拝は、児童会宗教委員が担当してくれました。こんな素敵なメッセージを全校に伝えてくれました。ご紹介いたします。

今年、私は5年生になり、聖歌隊員になりました。1年生のころから、5年生のハンドベルの演奏を聞いて、早く聖歌隊に入りたいなと思っていたので、5年生になった時は、とてもうれしかったです。

聖歌隊で奉仕するハンドベルは、1つのベルに1つの音があります。ですから、演奏する時には、人がたくさんいなければなりません。聖歌隊になり、本格的に6月の特別礼拝で演奏する曲の練習が始まりました。

ハンドベルを演奏する時には、自分に与えられた音を、決められたタイミングで打たなければいけません。最初はベルを打つタイミングが分からず、とまどってしまいました。けれども練習していくうちに、だんだん上手になっていくのが分かりました。

みんなと協力して完成した曲を「キリスト教教育週間」がある6月の特別礼拝で、演奏することができました。これはクラス全員が心を合わせて練習したからだと私は思います。

聖歌隊は次にクリスマス礼拝で演奏する曲の練習を始めます。この曲は、特別礼拝に演奏した曲よりも長いですが、クラスのみんなと協力し、この曲も6月の特別礼拝の時のように成功することを私は願っています。

ハンドベルの音はどれも違いますが、それらが合わさると、とても素敵な曲になります。私たちも、神様からひとつひとつ賜物をいただいています。今日の聖書には次のように書いてありました。「あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みのよい管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい」(ペトロの手紙 一 4章10節)

ですから、わたしたちもハンドベルの音のように、みんなで神様からいただいた賜物を生かし合うと、とても素敵なものになります。神様から与えられた賜物を大切にし、これからも生活していきましょう。

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2022年10月 8日 (土)

前期終業式校長挨拶

 あっという間に前期が終わり、今日は終業式でした。こんな言葉を子どもたちにおくりました…。

「あなたがたはそれぞれ賜物を授かっているのですから、神の様々な恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい」(ペトロの手紙第4章10節)

 プールに入って歩いて前に進もうとすると、水が押し返してきてゆっくりとしか進むことができません。それから、そう、空気は目に見えません。だから前に進んでも押し返す力はないように感じます。でも例えば風が吹くと、空気の強い力を感じます。自転車のロードレースでは、先頭、一番前を走るのは不利だと言われています。だから先頭の後ろを走って、ゴール前で抜くという作戦があります。一番前は、空気の押し返す力をひとりで受け止めなければならないからです。

 この押し返す力がなければ、水の中でもぐんぐん進めるのに。自転車でも一番前をグイグイ走ることができるのに…。でも、ちょっと考えれば分かりますよね。その押し返す力がなくなったら、どうなるか。

 それはこういうことです。

 歩き始めて一歩踏み出す時、足の裏は地面を押します。地面はその足の裏と同じ力で、足を押し返します。だから人は前に進むことができるのです。もし地面が足を押し返さないとしたら、田んぼとか、沼とか、雪の中を進もうとする時のように…分かりますよね?ずぶずぶと沈んでいって、前に進むことはできないでしょう。固いものは押し返す力が強いのです。水は弱い、弱いけどその押し返す力があるから、平泳ぎとかクロールとかで進むことができる。空気は押し返す力がないように感じられる。でもその押し返す力がなかったら、凧あげの凧は上がらないし、飛行機も空を飛ぶことができないでしょう。

 前期が終わります。前期の間に色々なことがありました。嬉しいこと、楽しいこと、わくわくすること、ひょっとして心がチクッと痛むこと。それは皆さんが、一歩踏み出したからです。その踏み出した一歩に対して世界が押し返してきた。その力を感じて、みなさんの心が動くのです。

 リズム良く、テンポよく走り出した時、気持ちはわくわくするでしょう。自分はきっとこれくらいの速さで、これくらいしか走れないだろう。そう思っていた自分が、あれ?まだ頑張れる。自分は自分が感じるよりもっともっと強くなっている。そう気が付いた時には、嬉しさでいっぱいになるでしょう。世界がみなさんを押し返して、応援してくれているのです。

 時には足の裏に傷があって、一歩一歩に痛みを感じるでしょう。それは世界がみなさんに少し休みましょうって。ここに傷がありますよって教えてくれているんです。そんな時には、「そうか」って思って、「ふーん」って思ってちょっと休んでみるのも良いでしょう。

 どうぞそうやって、自分の心、お友だちの心を丁寧に感じ取ってください。それが「神の様々な恵みの善い管理者」ということです。

 自分では気が付いていないかも知れませんが、小学生であるみなさんの笑顔がどれだけ私たちを励ましていることか。希望ってみなさんのことです。未来って、そもそも賜物って、みなさんのことなんです。みなさんは、それぞれその希望・輝きを生かすように、力を合わせてください。

2022年7月19日 (火)

夏休みに向けて

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「幸せのためにお金がほしいという文章はあるが、お金のために幸
せがほしいとはいわない。従って幸せの方が上位である」(アリストテレス『ニコマコス倫理学』…矢野和男氏の『予測不能の時代』に引用されていたものを使わせていただきました)

 

 世界の学校の「夏休み」を調べてみました。アメリカは約3か月、カナダやフランスは約2か月、この国々の夏休みには、宿題がありません。子どもたちは「うらやましい!」と叫ぶでしょうか。でも、ちょっと落ち着いたら、それでも不安になって「でも3か月も休みで宿題もなかったらどうなってしまうんだろう」と不安になる声もきっと出てくるようにも思います。

 

  そんなことを考えていたら、そもそも学校って何のためにあるのだろう? なぜ、勉強ってしなければならないんだろう? そんな疑問が浮かびました。これまで教員として働いてきた経験の中でも、「なんで古文の勉強なんてしなくちゃならないの?」「微分積分なんて社会に出て必要なの?」「文法なんて知らなくても、喋れれば良いじゃん」などなど、時には冗談っぽく、時には極めて真剣に、そう尋ねられましたことがあります。「将来のため」「今やっておかないと後で苦労するから」「それが子どもの仕事だから」などなど、答え方も相手の表情に合わせて答えてきましたが、改めてきちんと考えてみましょう。

  

 まず、子どもたちがそう尋ねる理由は「やらされている」と感じているからでしょう。では、子どもたちが「やらされている感」を持たないためにはどのような動機付けが有効なのでしょうか。これまでそう答えることがなかったわけではありませんが、実は将来の不安をあおる言い方は決して好手とは言えません。The Blue Heartsも「♪先生たちは僕を不安にするけど、それほど大切な言葉はなかった♬」(『少年の歌』)と歌っています。

 

 それよりも、今の幸福感に直接つながるような、その幸福感の延長線上に将来があると感じられる言葉、そんな言葉を伝えたい…そう考えて、夏休み前、最後の礼拝の時に子どもたちにはこう話しました。「人に言われてするのでなかったら、勉強ってとても楽しいものだよ」と。

 

 そしてそう伝えたからには、誰よりも私自身が楽しんで学びを進めていきましょう。実は「鈍器本」が何冊も「積読」状態になっています。その山を登ることを楽しみにしています。

 

 良い夏休みをお過ごしください。

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2022年6月30日 (木)

正しい姿勢

 
                              校長 小出啓介

私たちはこどもたちに「姿勢を良くしなさい」と言います。そう言いながら「良い姿勢」「正しい姿勢」とはどんなものなのか説明しなさいと問われると、答えに窮してしまいます。私自身、座った時に猫背になる癖がついていることを随分前から注意されてきました。しかし、それが悪いことだと感じることはなくこれまで過ごしてきました。だから正直言って、それを直そうと積極的に意識することもありませんでした。猫背になってしまうのは、その姿勢が楽に感じるからなのでしょうが、そもそもその傾向そのものから矯めていかなければならないわけです。

 

ロンドン留学中の夏目漱石が、反対側から歩いてくる「妙なきたない奴」が、鏡に映った自分の姿だと分かって幻滅する様子を日記に書いています。そこまで極端ではないにしても、ショー・ウインドウにふいに映った自分の様子を見て、「あれ、姿勢悪いぞ」と気付くことは誰にでもあるかもしれません。

 

「文学を極めよう」とロンドンで書籍に埋もれていた漱石は、いつの間にか、周囲のイギリス人たちのプロポーションが身にまとう洋装を当たり前のものとしてイメージしていたのでしょう。そのイメージと、「妙なきたない奴」とのギャップに驚いたわけです。それが自分自身の姿だったと正直に書き記しておくところが、漱石らしい誠実さなのかも知れません。

 

「姿勢」は、身体の状態だけではなく、心の状態も示すものでしょう。「襟を正す」と言いますが、相手の話を真剣に聞く時には、その心の状態にふさわしい「姿勢」が求められるものでしょう。誤った姿勢を「楽」に感じることのないように、改めて「正しい姿勢」を学びたいと考えています。

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2022年6月28日 (火)

ICT実践報告

6月に行われた本校の第2回学校説明会で実施した本校のICT利用の実践報告、YouTubeチャンネルにアップしたのでご紹介します。

生活科

体育科

日常的な利用

ICT教育

です。

こちら、小学校のYouTubeチャンネルです。ぜひ、ご視聴ください。

2022年6月 6日 (月)

運動会を終えて

 校長 小出啓介

 小学校の半分、3年生以下は保護者の方の前で運動会を行ったことがありませんでした。稀有な事態です。コロナ禍で迎えた最初の運動会が中止になった時、その後、ここまでその影響が続くとは誰も思っていなかったでしょう。もちろん今もすっかり収束したわけではありません。しかし、運動会にむけて子どもたちが準備にいそしむ姿を見て、その強さ、しなやかさには驚嘆するばかりです。

 本校の運動会は「本気にこだわる運動会」と謳っています。紅白で戦う以上、勝つチームと悔しい思いをするチームが生まれます。2番目はありません。そこにあるのは「勝ち」か「負け」です。今年はご存じの通り、僅差で赤組が勝ちました。勝った赤組のみなさんには申し訳ないのですが、私は、少年時代の最も価値があるのは「本気で取り組んでダメだった経験」だと聞いたことがあります。「本気で取り組んで成功したこと」は、その次だと。(ちなみに一番ダメな経験は、いい加減にやったのにうまくいったものとなります)

 大好きなキャンプソング『がんがん』の歌詞を記します。♪青い空の下で君に出会えたこと それはとってもすごいことなんだ でっかいことなんだ。風に流れる雲を一緒に見ていたこと これはとってもすごいことなんだ 絶対忘れない だからつまづいて、すっころんで、ひとりぼっちさみしくって 涙ぼろぼろでも、大丈夫、頑張れる。がんがん生きてやる♪

ダメだった悔しさは、「学び」として実を結びます。勝利の喜びももちろん、ポジティブに事柄に取り組む強さを生むでしょう。でも、悔しさから立ち上がる強さを身に着けること、その経験こそ生涯の宝となるはずです。

 さあ、勝った赤組も残念だった白組も、もういっぺん、走り出しましょう。

 

2022年1月21日 (金)

記事のご紹介

インターエデュ2022年度注目の小学校特集に本校が掲載されています。

ご紹介します。

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2021年4月 8日 (木)

2021年度入学始業式 校長挨拶

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1年生の皆さん、入学おめでとうございます。いつもより早い桜の開花も、日に日に暖かくなっている季節の移り変わりを実感させてくれます。私たちの毎日は、繰り返しのようでありながら、確実に移り変わっていること、同じ景色を毎日見慣れているようだけれど、この時は今、この今しかないことを、自然の中で教えられます。

みなさんは、新しい「学校」という場所に通います。まずいちばん大事なことを覚えておいてください。

これから楽しいことがいっぱい待っています。

新しいことをたくさん覚えていきます。それが楽しいことのひとつです。ふたつめは、これまで知らなかったお友だちとも知り合うこと。知っているお友だちも、やっぱり新しいことをたくさん覚えていきますから、昨日までのお友だちとは違う感じがしてくるでしょう。それもまた新しい出会いという楽しいことです。

横須賀学院小学校のみんなは、とても優しい子どもたちです。みなさんが入学してくることを楽しみにしていました。困ったことがあったら、上級生たちになんでも尋ねてください。

さて、その上級生たち、進級おめでとうございます。先日の終業式の時にどんどん失敗をしましょうというお話をしました。学校はそういう練習の場所ですよと。もう少し詳しくお話をします。失敗にはいくつか種類があります。1つ目、うっかりやっちゃった失敗。これが一番多いですよね。2つ目は、その人の考え方や生活から生まれてしまう失敗。これがいちばん気になる。そして3つ目が、なにかに挑戦した時の失敗。最初の2つの失敗が、次の挑戦の芽を育てます。

みなさんの年代で、いや、どの年代でも同じですね。私だってそうでしょう。しなければならない良い出来事、経験、そのことによって生きる意味を際立たせる、一生の宝になるような出来事、オリンピックなんかのメダルで例えると、金メダルの出来事、経験はなにか…それは本気で手に入れようとしてダメだったこと。勘違いしないようにしましょう。本気で手に入れようとしてうまく行ったことは、二番目の銀メダル。そして一番ダメなのが、なんとなくやったらうまく行っちゃったってこと、これは人をダメにしてしまいますから。

6年生は先週の金曜日に一足早く登校してくれました。「準備登校」です。下級生のみなさん、これは自分たちが学校に来るための準備をしたのではありません。先生たちと一緒に、下級生のみなさんを迎えるための奉仕をしてくれたのです。笑顔で働くその様子を見ていて、とても嬉しかったです。

小学校全6学年168名、ここにいるみんなが、安心して伸び伸びと新しいことに挑戦できるように、先生たちは手を貸してくれます。1年後のみなさんが、どれだけ成長しているか、今からとても楽しみにしています。

新入生の保護者のみなさま、ご入学、おめでとうございます。大切なお子様を横須賀学院小学校に託していただき感謝いたします。幼い日々のすぐれた経験は一生の宝となります。その責任と誇りを持って、彼らをお預かりいたします。

子どもたちは、保護者のみなさまのご家庭からだけではなく、10年後、20年後の社会から預かっている多くのタラントです。マタイによる福音書25章40節にこのように書かれています。「『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』」と。私たち教職員一同は、神様に仕えるように、子どもたちの成長に仕えてまいります。

横須賀学院小学校は、昨年度創立70周年を迎えました。更に良くなろうとしています。その「もっと、もっと」と、更に良くなろうとする運動それ自体が、本校の伝統であると信じております。まだ生まれたばかりで誰も見たことのない横須賀学院小学校を、共に育てていってくださるようにお願いし、私の挨拶とさせていただきます。

2020年10月22日 (木)

C入試 / 秋季個別学校案内

今年から小学校の入学試験に「C入試」を設定しました。

また直前に出願をお考えになって、まだご来校をいただいていない保護者の方に「秋季個別学校案内」を設けました。10月24日(土)・29日(木)・31日(土)・11月3日(火・祝)それぞれ9時から16時まで、1時間枠で設定し、45分程度、個別に学校についてご説明させていただき、またご相談もお受けいたします。

それぞれ本校のホームページから申込みができます。

出願は本校ホームページ「2021年度インターネット出願」から

秋季個別学校案内申込みは、本校ホームページ「学校説明会申し込みフォーム」からお申し込みください。

リンクはこちらです。

C入試出願

秋季個別学校案内

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